月別アーカイブ: 2015年2月

耳のかゆみ  高橋禮子

ピノキオとアリスの会話が耳に入る眠らずにいようこのままずっと

両耳にふしぎなかゆみを覚えたりリオの海鳴り聞かんとすれば

どこでいつ誰としたのかどうしても思い出せない初めてのキス

ときは寛政ところは谷中の感応寺「五重塔」の語りに引かれる

このあいだ観たる舞台が目の前に在るということ記憶のビデオ

再びの眠りに入らん不思議なる耳のかゆみが消去される

短歌 花のあっぱれ  高橋 禮子

赤坂の松葉屋製の胡麻どうふ健康志向のきみのたまもの

うすずみの空より雫が零れそう枝を切らんと身を伸ばすとき

誰しもが思いのままにいきるらん反発もまた順応もまた

ラグビーの開幕戦にどっぷりの私をだれも制御できない

忍耐もここまででした突然の霜にカンナが首うなだれる

やらざるはやるに如かずと庭に出て拾う落ち葉の二十リットル

盛りなる夏の胡瓜の勢いがそのまんまなるあなたの古漬け

ガリ版のヤスリを燃えないごみに出す浮世の仁義果たさんとして

ことわりもなく侵入する老化こそしたたか者のズバリ筆頭

イソギクの花のあっぱれわが庭の小春びよりに波打っている