月別アーカイブ: 2015年4月

風のハミング  高橋禮子

風のハミング

ノルウェーの海を泳ぎてここに今さばは鯖なる青光らせる

吹きわたるフィヨルドの風徐ろに鯖のみそ煮を食まんとすれば

にぎること忘れなかったらいつだって私を遊ばす氷のかけら

フレッシュに描き出されてふたむかし超ゆる昔の北欧のあれこれ

身の内に響きくるのはベルゲンの坂を転がる風のハミング

さあさあ私はこれより何をする南の風が坂をころがる

大きなる顔してたったの一つ咲くわが白牡丹二十五センチ

地に戻る愛こそよけれぼっしゃりの雨に散りいる牡丹のような

 緑の電話  高橋禮子

緑の電話
リビングに位置を占めたる緑の電話ずんずん積もらす禮子語録を

捨てられぬ物は一つにあらずして不揃いなるままわれをば囲む

アクティブにあらねばならぬと思いたり空に己の影おくりつつ

冥王星「降格」の事ふしぎです星には罪がないと思うも

日常にワンパターンあり何につけ思ってしまう若かったなら

身を焦がすほどの恋でもしてごらん緑の電話に言われたような

あるならばいつ?  高橋禮子

チューリップの花束えらぶ君のいてまたもや一つ年をとりたり

トリノより吹き来る風の一筆啓上あわきみずいろ若さのエキス

きさらぎの空透き通り庭に咲く福寿草のみのどかに黄いろ

争うというのではなく楽しむと言い切る静香のつよさの勝利

オリンピックの選手であったからこその荒川静香の金の華やぎ

私にも集大成ということがあるのだろうかあるならばいつ

もう一度走るモードに戻ろうか現状維持をモットーとして

キッチンライフ  高橋 禮子

うっかりと眼合わせてしまったか合点やかんよお湯を沸かそう

退きぎわを考えいたるわがやかん不意のお呼びに空空わらう

沸騰を待つ間数分何をするなんにもせずに薬缶を見つめよ

液体が気体になるという過程をじっと見つめるキッチンライフ

盛りあがる口より白き湯気あがる人気沸騰世論の沸騰

ふた取れば見通しのよき湯の面ふつフツ沸と気泡ころがる

四センチほどなる親分出でてくるもすぐにプチンと弾けて消ゆる

器具せんを止にまわしたれば大中小いずれの気泡も消えてしまえり