月別アーカイブ: 2015年11月

浮力に叶う  高橋 禮子

 

浮力にかなう
高橋 禮子
水槽の魚が私を出迎える有楽町のソニービルまえ

街中をのぞくようなる針千本大きな針はただいま不用

沖縄の魚が集合してます十四トンもの海水のなか

ニセゴイシウツボがその身をたてにする見てよ見てよと叫ぶ姿だ

弱りたる魚以外は食べぬという海の掟は浮力にかなうか

落ちてくる浅蜊ぱくりと受け止めて模様河豚くん元気いっぱい

沖縄のサンゴの海に身を運びサカナになってる私を見つけた

銀座のひまわり  高橋 禮子

 

銀座のひまわり
高橋 禮子

銀座にはもう夏があるソニービル ひまわり畑だ五月のはつか

水戸っぽが一人まじって都会風夏に弾ける黄のいろパワー

たまたまの幸せうれし頂いたこの種いかなる未来を咲かす

四丁目三越ぶらりと歩く人カラフルかろやか買物モード

不況とかインフルエンザ騒がれてそれでも明るい人びとわれも

試着した服をそのまま着るわたし往きと帰りは別人となる

姿勢までよくなるだから若くなる今風の服に引き立てられて

主役は私 高橋 禮子

 

主役は私
高橋 禮子
わがつばさ風に透かせばもう少しとべる気がする跳べ思い切り

劇場の波にもまれてドンブラコどんぶらこっこ座して新橋

目を凝らす幕の向こうに見えてくる直筆原稿だれのものやら

日常をポンと返して若返る「花舎(はなや)」の客の一人になって

登場する料理はすべて本物だ生揚げ蛤ホタテおにぎり

焼いているこの香りこそけむりこそ笑いのありて涙のありて

生活の匂いたっぷりある舞台 わたしの本音がほどかれてゆく

神楽坂ゆるり歩いてくぐりたる花舎ののれん大きなしゃもじ

人生の主役は私なるを知れ いまの今さえ本番OK

ロマンの雫   高橋 禮子

 

ロマンの雫
高橋 禮子

玄関のキーさえときにはすねるのか姿隠してわれを無視する

何回も出したり入れたり確かめたバッグに鍵の姿はあらず

閉ざされたドアはどうにもなりません開けゴマなど唱えてみるも

あったりまえのことです車内の捜索はしどろもどろよ何処に消ゆる

預けおく鍵に頼るほかなくて車走らす水戸のたそがれ

控えのキーにやっと出番があったこと新しき年の吉事となさん

リビングに戻った私の平常心「車の中をもう一度見よ」

助手席とドアの隙間こそすねたるキーのしばしの安らぎ

どこにでも小さなドラマがあるんです分かったようなドラマの雫