月別アーカイブ: 2015年12月

横顔   高橋 禮子

 

横顔
高橋 禮子

朝焼けに何を祈らん横顔をひまわり二つに見つめられつつ

はてはてな内より湧きくるこれなあに眼(まぶた)閉ざせば濃き緑いろ

若さって自分で保つものなのだ照れることないわれのことあげ

わが庭の象徴となるふた株の芙蓉は惜しまぬ花びらエール

さりげなく昇る太陽おもむろに「ついておいでよ」ついて行きたい

おひさまに聞いてもらおう今更に口に出さざるわが願いごと

霜月の半ばに何がと問わるるも答えずポーチを磨いています

広浦ロマン   高橋 禮子 

 

広浦ロマン
高橋 禮子

さらさらと零れる光をわがものにせんとて出向く涸沼の浦に

万葉のこころとさほど違わぬか鳥と風との語らい聞こゆ

斉昭の隷書が日差しに鎮もれり「広浦秋月」空の広がり

ふたつほど白きヨットの帆の見えて引き戻されるうつつ平成

恋を知る乙女の涙と思われて水に戻せりあかき小石を

いっときを共にあらんと上手より長き毛のネコ二匹駆けくる

水鳥の仕草じいっと眺めいて猫の視線をそらせずにいる

ひとりにはひとりのロマン二匹には二匹のロマン広浦ロマン

さざなみに乗りて西へと泳ぐ鳥すでに汽水は春のぬくもり

乳色の風に送られ下手へと去らんとする四葉のクローバー

宋江の眼  高橋 禮子

 

宋江の眼
高橋 禮子

中国の風が一気にわれを?む梁山泊の「誠心誠意」

はるか皆十二世紀の物語めざす世直し民衆の力

同時代を生きているような錯覚に陥ることあり観る「水滸伝」

宋江の眼がくるりと回ります時空を超えて私も民衆

力ある者を味方にせんとする首領の「誠」がわれにも届く

歌舞伎とは響きが違う京劇の動に比べて静なる歌舞伎

空間に弾けるような宙返り「水滸伝」こそこの立ち回り

歌詠んでくれ  高橋禮子

 

歌詠んでくれ
高橋 禮子

フラフラ届く蓮根四キロだ鮮度保持なるフィルムに包まれ

たくさんのハスの地下茎目の前に置きて寄り来る年を思えり

蓮根の新たなる顔ほーれほれ歌詠んでくれとわれを促す

ありがたく受け取りました直球を好む「あなたの見通しよろし」

れんこんの穴の呟き聞いたげる「あの夏の花が見えているのに」

私のために届いた蓮根の四キロいかなる明日につながる

夏にこそ花を咲かせんレンコンとレイコの接点確かめながら