月別アーカイブ: 2016年1月

オーバーラップ  高橋禮子

 

オーバーラップ
高橋 禮子

遊び心に歌ごころ 南の島に花を追うひと

月桃の花を背にする蓉子の若さ 花に真向かう力とこころか

相聞のふた文字オーバーラップする 「花調八重山」潮(うしお)香らす

錫高野の風の語りを聞きながら辿りてみたり黒澤正幾を

錫高野を発ちたる日より三十四日 京に正幾ありいざこれからと政足る

怪しげな動きの女と囚わるも 乱れみせざり大顧ある身は

囚わるもおりにふれ詠む歌のよし 人のこころにしんと響きて

帰郷後の記録に詳細のこされて 「捕われの記」の筆致の清し

ほらほらの洞  高橋 禮子

ほらほらの洞
高橋 禮子

平らなる幹もつ大樹その昔雷に打たるを少しも語らず

降り出した雨の勢いてこにして洗ってしまえり網戸の十枚

ワイルドな気分になれば網戸さえ修理できます緑のペンチで

クロネコが連れてきたるは助っ人の銀座直久の切り札として

時代とは風が運んでくるものか立山の水をごくりと飲めり

大型ボルト  高橋 禮子

 

大型ボルト
高橋 禮子

いつのころ鳥が運んでくれたやら庭にニシキギ紅ともす

雁沢の遺跡のあたりに住みてよりはや二十年つかの間なりし

この地にて二人が別れたる経緯人に語らず今を生き抜く

私をついに捉えた公園のブランコ大型ボルトのような

眼前に微かに揺れてわれを待つ風が漕いでる風のブランコ

午前九時人っ子ひとりあらずして宙へと漕がんわれのブランコ

六時のポスト  高橋 禮子

 

六時のポスト
高橋 禮子

茎ながくつぼに踊らすひまわりの花の十六きみのセレクト

なにごとも無かったように地に降りてひそかに集う桜はなびら

ストレスのたまものかしら悪玉のコレストロールは意外な結果

本日の疲れを癒すか花畑牧場産の生キャラメルこそ

少女らのさざめき響いてくるような花梨の花は今まっさかり

半月が白くわが家を見下ろせり六時のポストをめざさなければ