月別アーカイブ: 2016年5月

何かたりない  高橋 禮子

 

何かたりない
高橋 禮子

一日に三十分ほど歩くべし始めていまだ三日目なれど

ときおりは止まるとんぼとにらめっこ私も赤い蜻蛉になって

どなたにも強い味方はいるのです影の伴走「背筋を伸ばせ」

道までもはみ出すさつまの軍団が花のむらさき掲げています

そういえば芋の素性はヒルガオ科多年草なる植物だった

少女期のわれが出てくるわが視線空に向いてる夢求めてる

おもむろに消えてゆく恋いくつした何か足りない私の人生

かがやく  高橋 禮子

 

かがやく
高橋 禮子

負うものをあっけらかんと放り投げ安らぎ得たり葉月の風に

向き不向きあるがヒトなり私はこの世にたった一人のひとなり

二十年住めば庭さえ馴染みゆくブルーベリーを実らせながら

一日にひと日減りゆく人生を小鳥のごとくついばむわたし

胸のうちにたまりいること思いきり吐きだして得るこの快感を

ああつまり正直にあれということか石川遼の拳かがやく

ひまわりになったつもりで立ち止まる畑の小径をゆるり歩いて

ターンベリー  高橋禮子

 

ターンベリー

高橋 禮子

ごぜん四時まだ覚めておりがっちりと両手につかむ全英オープン

これまでにメジャー観戦まるでなくゴルフボールもほど遠きもの

ふた晩を徹して眺めるライブこそ雨あり風あり波まで髙し

石川のかげる表情追うわたしいつの間にかギャラリーめきて

自然とのかつ自分との闘いの深さを見せて苦戦のタイガー

王者にも遼にも無かった決勝ラウンドけれど確かな二人のゴルフ

ゴルフ観る楽しさ知った私ですターンベリーの風を睨んで

台風   高橋 禮子

台風
          高橋 禮子

台風に閉じ込められてる私の装いまさにソバージュ禮子

ものすごい南の風邪に真向かいてひとつ勝負を挑みたくなる

役ひとつ下りて得たるかヒトの持つ野性ソバージュ回れよ回れ

十日ほど前の新聞読みながら時の道筋さかさにたどる

北東へ向かう台風その速度五十キロなりもっと急げよ

雲が雲を追いかけている台風の別れのエリア 空一面に

寝るまえに「オレンジ玉子」二つ吞む朝の野性を育むために