月別アーカイブ: 2016年6月

日本見分語録 高橋 禮子

日本見分語録

高橋 禮子

アメリカを離れ「日本の二十九年」語るダニエルいま四十九

動的な語りにジョークの味付けとくればみんなが満たされてゆく

前列中央の席がすべり込みセーフの私に与えられてる

山型弁わがものとして「んだんだ」のシーン語れば笑う会場

講演でなくて公演ダニエルのひとり舞台にあふれるオーラ

三百の人らの心を逸らさないダニエル・カールの全力投球

シーソーに自慢と謙遜乗せながら九十分を締め括りたり

青森ほたて  高橋 禮子

 

青森ほたて

高橋 禮子

珍しい客に驚く陸奥湾を起点となせる青森ほたて

一瞬の戸惑いあれど説明書のぞき安心「貝の開き方」

殻つきのほたておまけに生きているきりきりと力む初体験なり

一つ開き二つ開きて十開く次第に慣れてほたてを知り行く

驚いたやれば私も出来るのだ引いてはならぬ体験学習

貝柱白く光って恋をする少女のように畏まってる

ヒモのぬめりを包丁の背でとるなんて昨日の私に不可能でした

ふたつなる津軽・下北半島の気に触るるよう師走の七日

半月  高橋 禮子

 

半月

高橋 禮子

そういえば「かあさんはね」という科白ひとたびもなく今日の冬晴れ

大きな桃が流れて来ることなかったね竹の林の風のくちぶえ

ゆずいろのバスタブにいて仰ぎ見る空の半月静かに照れり

神様の思し召しかも知れません子の分までも走り続けよ

やっと出たあしたは雨の天気予報みんなが潤い憂欲しがっている

風のくちぶえ  高橋 禮子

風のくちぶえ
             高橋 禮子

空っぽのびんの呟き「壜」の字に日のあり土あり雲さえあるよ

わがこころ言葉とシンクロできる日は歌も自在に転がるけれど

子を産むもまた産まざるも自然ならつまりは同じどちらも同じ

遺跡の丘のあわいに沈みゆく夕日尊しブロンズレッド

あなたの子産みたいなんて思うこと遠い昔にあったのだけど