月別アーカイブ: 2016年7月

連歌3 名残表

   この部屋で連歌が詠まれます。

名残表

 1、陸奥は言の葉ひとつ分けがたし    和伸

 2、九郎も苦労つもりこそすれ     忠夫

 3、衣の裏は緋なりき君しのぶ      紅舟

 4、黒き女の運命かなしき       裕雄

 5、外国のことないひそひとむかし    忠夫

 6、寒く大河は魚も通わず       正謹

 7、谷底にしろがね光る橋高く      和伸

 8、今日を最後の気動車のゆく     忠夫

 9、ゆるやかな時のうつりをふりはらひ  正謹

10、涼しき月の街をさまよふ      裕雄

11、まとひたる生絹の透きて蛍狩り    紅舟、

12、香に立つ恋の姿いろいろ      和伸

13、山寺の鐘もなつかし遠き日々     裕雄

14、父母の亡き郷に帰りて       忠夫

連歌2 会場の七賢亭

    連歌 会場の七賢亭

 初 裏

  1.  里人のこぞりて聞くやほととぎす  裕雄

  2.  無何有の家は夢ごことして     正謹

  3.  手枕に月日も早き龍の宮      和伸

  4.  身もこがしつつうましおとづれ   裕雄

  5.  逢いみての後なればなほしたはしく 牟世

  6.  物語絵を購ひて読む        忠夫

  7.  伝ひきし土蔵ふかき匂ひもや    紅舟

  8.  志野の徳利に善所の盃       裕雄

  9.  月まどか峡のながめも和ませて   正謹

  10.  二百あまり十日ことなく      和伸

  11.  みのり田に群れて雀の遊ぶらむ   紅舟

  12.  願いて返す苗代の土        裕雄

  13.  あらかじめ祝ふ祭りに花ふりて   忠夫

  14.  笛や太鼓の囃子のどけく                  正謹

 

    連歌は、詠み手夫々が上は5・7・5、下は7・7と即座にくり返すだけに、                                                    充分に頭を働かせないと座がもちません。
しかも、前述のように一定のルール(式目)を知らないと歌が詠めませんので                    ルールだけは事前に熟知していなければなりません。                               他の人がすでに詠んでいる句に類似した字句、季語などがダブると違反になります。
 絵で違反詠みした場合とか、去嫌(さりきらい)などで、同季や同字、                       あるいは類似した詞などを嫌う規定で、このような慣習がいくつかあります。
また、発句の中から一字をとって「何」に当てはめ、名称としますが、                                その何という字が前か後に付きます。
 今回の連歌集は、賦白何連歌(ふしろなにれんが)といい、                                         風など目に見えないものを顕す白の後に何の字が付いています。                                         これが賦(ふ、ふせ、ふし)になっていて、白から何かを想像して句をつくることになりす。
つづく

竹林の涼風

 賦白何連歌(ふしろなにれんが)

 

   奥美濃も名所(などころ)とせん萩の庭 

平成16年9月、爽やかな風が竹林を吹き抜けます。
この竹林奥の七賢亭で、冒頭の島津忠夫宗匠の発句から連歌会が始まりました。

 

 

 賦白何連歌

 初 表

  1. 奥美濃も名所とせん萩の庭     忠夫

  2. 風さわやかにひらく草の戸     柏全

  3. もの言はず虫すだく径尋ね来て   裕雄

  4. 川霧深く冬隣るらし         正謹

  5. 江の空に残る月さへなつかしく    和伸

  6. 小舟棹さしいざ漕ぎ出でな      紅舟

  7. 旅の果て幸はふ先のあやまほし   牟世

  8. 山にも野にも甲高き声        忠夫

 連歌について

 和歌の上の長句5・7・5と、下の短句7・7・七を別の詠み人が        交互に作って百句までの百韻連歌(ひゃくいんれんが)が基本です。         千句連歌などと続けて、ひとつの壮大な作品に仕上げる文芸文化が連歌で、      万葉集の時代から文化人の知的遊びとして伝えられています。

 江戸時代中期からは36句の歌仙連歌(かせんれんが)が            和歌をも凌ぐ勢いで流行しますが、やがて俳句の登場で衰退の道を辿ります。

 連歌の最初の句をお発句(ほっく)といい、                     座に招かれた主客が詠みますが、必ず季語とけじめの切れ字を入れるのが      ルールです。

 連歌の締めくくりの句を挙句(あげく)といい、                この句の詠み手も「挙句の果て」として重要な役割となります。

 連歌では、同じような発想や言葉の繰り返しを輪廻(りんね)といって       避けねばなりません。

 なお、句の中に物の名前を隠して読み込む連歌を「賦物(ふしもの)」といい、   これを推察する力量も必要になります。
つづく

    

連歌集・竹林の風について

村長より。
この度、開運道「皆様の家」の『読み、書き、出版』を担当する三武義彦顧問を紹介します。
hp

 

三武顧問は{日本の心・武士道」サイト担当の小美濃清明顧問共々、              私とは古文書研究会理事時代から30年来、共存共栄、相互扶助の精神で           援けあってきた掛け替えのない仲間です。
この連歌集・竹林の風は、平成25年2月に(株)右文書院より発刊されました。          その格調高い作品の数々を関係者のご厚意でここに連載させて頂くことになりました。
読み、書き、出版』担当顧問略歴(敬称略)。

三武 義彦 (みたけ よしひこ)

東京都出身、大田区在住。9月1日生。中央大学卒。
俳号・二畳庵。                                               (株)右文書院(大正7年創業、高校国語教科書他歴史書&教育図書分野 で著名)             代表取締役                                                 (株)さつき書院社長。                                            教科書協会会員・国語国文学出版会会員。
「連歌集・竹林の風」編者略歴(敬称略)。

筒井紅舟(つついこうしゅう)

日本伝統文化研究会紅の會会長、紅舟美術館紅林文庫館長、日本文芸家教会会員、   現代歌人教会会員、裏千家茶道正教授。                                著書&編書に歌集「花幻」「袖の月」など多数あり。
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平成16年9月5日、午前11時、藤江正謹宮司の乗用車でに同乗されて、島津忠夫先生はじめ御連衆が到着された。応接間で休憩されて後、紅仁庵の香席にお通しした。

目の前に 萩咲きこぼる 舟館  忠夫

「連歌集・竹林の風」は、上の文章から始まっています。

島津忠夫・・・この名に私(村長)の目は点になってしまいました。
島津忠夫さんといえば、つい二カ月ほど前の新聞の訃報欄に載っていたばかりの       大阪大学名誉教授。                                             それ以上は知りませんから慌てて調べると、                              瑞宝中綬章受勲、日本の国文学者。                                   中世文学専攻で連歌・俳諧・和歌の研究者で文学博士。                        現代歌人集会理事長。                                           「島津忠夫著作集・全14巻・別冊一巻、和泉書院」。                          第20回角川源義賞受賞。                                         第31回現代短歌大賞受賞、冷泉家時雨亭文庫顧問・・・その他、限りがありません。

この「竹林の風」は、島津忠夫宗匠を中心として開かれた連歌の集いでの作品集で、竹林を吹き抜ける涼やかな風を詠っています。

では、次回からのスタートを楽しみにお待ちください。