小倉百人一首に歴史を読む-1

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倉百人一首に歴史を読む-1

海野 弘

「小倉百人一首」は天智天皇(六二六-六七一)から順徳院(一一九七⊥二四二)まで、ほぼ時代順に
並べられている。七世紀から十三世紀まで、奈良、平安、鎌倉時代にまたがっている。
百首の歌は、歌そのものとして楽しむこともできるが、その歌の作者の生涯、そして生きた時代
の中で読むとさらに興味深い。それぞれの歌において具体的に触れたいが、まず、大きな時代区分、
時代背景をざっと説明しておくことにしたい。
奈良朝の歌人は七人である。鎌倉時代に入ってから生まれたのは源実朝と順徳院の二人だ。あと
の九一人は平安朝の歌人となる。つまり、圧倒的に平安朝が中心となっている。だから、和歌の黄
金時代である平安朝を華やかに展開し、それに、はじまりと終末をつけたともいえる。
定家がどのように百首を選び、構成したかは想像するしかないが、百首を一つの世界と見れば、
王朝和歌の黄金時代をくりひろげつつ、それがどこからきたのかを示し、またその時代の終末のき
らめきを添えたように感じられる。

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