1、天智天皇

百人一首百彩-1

海野 弘
1、天智天皇(てんじてんのう) 後撰集 題しらず

秋の田の かりほの庵(いお)の 苫(とま)をあらみ わがころも手は 露にぬれつつ

〔秋の田のそばの仮小屋に寝ていると、屋根を葺(ふ)く苫の目があらいので、露がもれてきて、私の袖を濡らす〕

天智天皇(六二六~六七二)は、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)として、蘇我蝦夷(そがえみし)・入鹿(いるか)父子を倒し、大化改新を行い、律令国家を築いた。
六六七年、近江京に遷都し、六六鉢年、第三十八代天皇として即位した。しかし病いに倒れ、後を託すはずの弟の大海人王子(おおあmのおうじ=のちの天武天皇)とうまくいかず、多難なうちに没した。
この歌は、天智天皇の歌かどうかはっきりしないが、天智の歌として考えてみると、なかなか面白い。
大化改新を行なつて、新しい律令制度による国をつくつた。しかしそれはまだ仮小屋のようなもので、制度が整わず、そのあらい目から、いろいろな欠陥が入りこんできて、私を悩ませている。
そんなふうに読んでみたくなる。天智の理想や夢が現実の前に崩れてゆく悲しみが浮かんでくる。

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