21-素性法師

百人一首百彩-21

海野 弘
21-素性法師(そせいほうし)
古今集 題しらず

今こむと いひしばかりに 長月の 有明の月を まち出つるかな
〔今すぐ行くと、おっしゃったから、長月(陰暦九月)の有明の月が出るまで待ってしまいました〕

「まち出つる」と読ませるのは、待っているあなたが来ないのに、待っていない月が出てきた、というニュアJスだからという。そして待っているのは女性である。つまり、男性が女性の身になって歌を詠んでいるのである。
素性法師は僧正遍昭の出家前にできた子である。生没は不明。清和天皇から醍醐天皇ぐらいまで活動していたらしい。業平が、二条の后が東宮の御息所と呼ばれていた時の 「千早ぶる」 の歌を詠んだ会には素性法師も参加していたらしい。それから二十年以上たった字多天皇の時にも活動している。出家した宇多は、素性法師をかわいがっていたという。
『小倉百人一首』には、多くの坊さんが入っているが、浮世を捨てたはずなのに、いずれも、色っぽい恋の歌を詠んでいる。

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