百人一首百彩-28

百人一首百彩-28

海野 弘

源 宗干朝臣(みなもとのむねゆきあそん)
古今集 冬の歌とてよめる
山里は 冬ぞ淋しさ まさりける 人めも草も かれぬと思へば
〔山里の淋しさは、冬に一層つのってくる。人も訪れず、草も枯れてしまうから〕

枯れる(かれる)は、離れる、枯れる、が掛けられている。読んだままにわかるような歌である。
源宗干(?-九三九)は、光孝天皇の孫。陽成天皇が急に退位したので、子沢山で貧乏な光孝天皇が藤原基経の力で即位した。天皇は何十人も皇子がいたので臣籍にして源姓にした。走省(そがみ)皇子も源姓になったが、やがて呼びもどされ、源姓を離れ、宇多天皇になつた。宗干は天皇の甥に当たるこ
とになるが、源姓にとどまり、地方官としてあちこちをまわった。父の兄弟が天皇になったのに、
なぜ自分は不遇なのか、と彼は不満だったようだ。彼の歌にはその気分が漂っている。
『小倉百人一/首』には冬の歌が少ないが、宗干は、その冬の歌で選ばれている。彼の気分はいつも
一-
冬なのだ。山里の冬はさびしい。人もやって来ず、革も枯れている。私はそんな冬の山里にいるのだ。

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