29-凡河内窮恒

百人一首百彩-29

海野 弘
凡河内窮恒(おおしこうちのみつね)
古今集 しらぎくの花をよめる

心あてに をらばやをらむ はつしもの 置まどはせる 白菊の花
〔あてずっぼうに折ってみるしかない。初霜が一面に降りて、まっ白になったので、どれが本物の白菊の花なのかわからなくなったから〕
あまりに技巧的、観念の遊び、とこの歌に批判的な人もいる。だが、「をらばやをらむ」「置まどはせる」などのことばは印象的だ。
凡河内窮恒は生没不明。下級の地方官で、甲斐、丹波、和泉などに赴任している。しかし歌の才能を認められ、宇多天皇、醍醐天皇などに保護され、宮廷歌人としてあつかわれるようになつた。
与えられた題や、その場の気分に合わせて、即興でつくるのがうまかったらしい。そのような、こ
とばをあつかう機知を、この歌も感じさせる。
そして紀貫之、紀友則、壬生忠写らと『古今集』 の撰者に選ばれている。
彼が宮廷歌人として認められたのは、藤原兼輔のサロンに、紀貫之の紹介で出入りするようになってかららしい。    む
宮廷歌人になったけれど、彼の位は下級官僚にとどまった。逆にいえば、身分が低くても、歌などの一芸に秀でていれば、宮廷に受け入れられるようになづた。

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