37ー文屋朝康

百人一首百彩-37

海野 弘

37ー文屋朝康(ぶんやのあさやす)
後撰集 延喜御時、歌めしければ

白露(しらつゆ)に 風の吹きしく 秋ののは つらぬきとめぬ 玉ぞちりける
〔白露に風が吹きつけている。秋の野は、糸を通して、とめていない玉が風で散乱していくように見える〕

「延喜御時」というと醍醐天皇の時で、九〇一年から九〇五年である。九〇五年に『古今集』がまとめられているが、そこには入らず、九五一年の 『後撰集』 に入った。
文屋朝康は生没不明。文屋康秀の子といわれる。『古今集』には是貞親王家歌合の時(八九三)とある「秋の野に置く白露は玉なれやつらぬきかくる蜘昧の糸すぢ」が選ばれている。秋の野の白露を玉にたとえ、それを糸に通した玉飾りをイメージするところは、二つの歌に共通している。
彼は、この頃かなり知られた歌人だったと思われるが、『古今集』に一首、『後撰集』に二首の、全部で三首しか伝わっていない。いずれも、しやれたイメージが特徴で、もっと読んでみたいと思
わせる。

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