46-曾爾好忠

百人一首百彩-46

海野 弘

46-曾爾好忠(そねよしただ)
新古今集 題不知
こい
由良の戸を わたる舟人 梶(かじ)をたえ ゆくへもしらぬ 恋の道かな
〔由良の門(瀬戸)を渡っていく舟人が梶を失ったかのように、行方も知らず流されていく私の恋よ〕
l‥
由良の門は、一般には紀伊国(和歌山県由良港)が歌枕で知られるが、丹後国(京都府宮津の由良川)にもあり、好忠は丹後掾(じょう)であったから、こちらではないかといわれている。
はじめの三句で、海峡を行く舟という風景を見せ、そのイメージに、たよりない恋の行方を重ねてゆく。
曾根好忠は生没不明。経歴も不明だが天徳年間(九五七-六一)に丹後掾になつたらしい。そのため曾丹とあだ名された。『後撰集』から『拾遺集』にかけて活躍した歌人で、身分は低いが、歌の才能に強い自負を持ち、招かれていない歌合に出ようとして追い出された、といった奇行が伝えられている。その自信にふさわしく、長い間、歌人として活動し、多くの歌をのこしている。
この歌でもわかるが、非常に視覚性が強い、印象的な作品をつくつている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*