56-和泉式部

百人一首百彩-56

海野 弘

56-和泉式部(いずみしきぶ)
後拾遺集 心地れいならず侍りけるころ 人のもとにつかはしける

あらぎらむ 此の世のほかの 思ひ出に 今一たびの 逢ふこともがな
軒-
〔私はこの世からいなくなります。その思い出のために、もう一度、お逢いしたいものです〕

「心地れいならず」、気分が悪かった時にいってやった歌という。
「あらざらむ」は、ああ、私は死にそうです、という感じだ。
和泉式部は、生没不明。冷泉帝皇后の昌子内親王に仕えた。和泉守となつた橘道貞と結婚したので和泉式部と呼ばれる。二人の間の娘が女流歌人となる小式部内侍である。
しかし情熱的で、豊かな文学的才能を持っていた彼女は、夫に満足できず、恋多き女.であった。
冷泉帝第三皇子為尊(ためたか)親王との交際が噂になり、夫から離縁される。だが親王は一〇〇一年に急逝する。
それから親王の弟の師(そち)の宮との恋がはじまる。『和泉式部日記』はその記録である。しかし師の宮もー〇〇七年に没した。その悲しみから多くの歌が生まれ、歌人として認められた。
その後、道長に召され、その娘の一条帝中宮彰子に仕えた。
この歌の中に沈んでいる愛と死への不安が胸をうつ。

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