春近しー2  高橋 禮子

春近し-2

高橋 禮子
透き通る二月の空よ画布となれ描きてゆかんわれのこれから

水瓶座生まれでよかったわが肩に言葉湿らすみずがめひとつ

冷えのこるやよい二日の桜山ぐるり巡るも人まばらなり

咲くまえの桜大樹に耳を寄せしかと聞いてる水のたよりを

負けるのはことさらいやという人の洩らす言の葉カサリかさかさ

水茎とうことばころりと転がりて〈水を言葉も欲しがっている〉

春まろむポストの赤に差し出さん夕べ潤う手書きのたより

ひそやかにみずを香らす水だより君にひとこともう春ですね

烈公もごらんの通りさわさわと湧きでる泉に人ら寄りくる

春近し 高橋 禮子

春近し

高橋 禮子

透き通る二月の空よ画布となれ描きてゆかんわれのこれから

水瓶座生まれでよかったわが肩に言葉湿らすみずがめひとつ

冷えのこるやよい二日の桜山ぐるり巡るも人まばらなり

咲くまえの桜大樹に耳を寄せしかと聞いてる水のたよりを

負けるのはことさらいやという人の洩らす言の葉カサリかさかさ

水茎とうことばころりと転がりて〈水を言葉も欲しがっている〉

春まろむポストの赤に差し出さん夕べ潤う手書きのたより

ひそやかにみずを香らす水だより君にひとこともう春ですね

グレーのステージ     高橋 禮子


グレーのステージ

高橋 禮子

パールグレーの海を相手にしませんか年相応のランチの誘い

アンテナに止まる烏の低きこえ地上のわれを威嚇するよう

ワイパーを力いっぱい働かせ眺めていますグレーのステージ

一瞬もとどまることのない白きなみ横一線に寄せてほ返す

磯崎の磯に顔出す白亜紀の地層がこれぞ南向く岩

ひとつだけ北向く岩あり人呼びて〈畜生岩〉なり白亜紀のもの

白亜紀の末に絶えたる恐竜の姿が見える波の向こうに

空の青うつしていない海のいろグレーの世代のわれらにやさし

閉ざされた車のなかにひっそりと茨城産のメロンがかおる

はつなつの雨のピリオドよく見ればアンモナイトの形している

ヘルペス   高橋 禮子

ヘルペス

高橋 禮子

帯状疱疹の痛みに耐えて休まざりし六月辞職の伏線なりし

帯状疱疹ほわが夏の陣このたびの主婦湿疹は冬の陣なり

主婦湿疹と診断されたる両の手が今更ながらチョークを拒む

マンハッタンに五日遊びぬ学校を辞めるわたしの夏号グラビア

運あらばプラスとならんひらめきで決めてしまった路線変更
ぶらんこの競争しようと子が誘う勝算なけれど負けたくはなし

まひるの時間   高橋 禮子


まひるの時間
高橋 禮子

黄の傘に黄色の帽子黄の腕章わがステージは黄の色ラッシュ

年齢を忘れて生きていることを否定されたら教師を辞める

バランスを崩したくなし子の人権親の人権教師の人権

新採用の頃よりずうつと聞いているチャイムの支配を逃れたくなり

渋滞をいつものようにくぐりつつ辞める辞めない行ったり来たり

決断は怖きことなり結果にてそのよしあしがはかられている

正しいと信ずる両者の対立に歩み寄りなど無理かもしれぬ

サッカーをしていたという武装グループ人の子なるを証明しており

四月より自作自演が可能なりなんでもやれるなんでもやりたい
児童用二百円なる小筆にて書いて眺めた退職顧