新蓮歌ー19

初裏

1、季(とき)ごとに力そなはるものにして 安親

2、 しけ(糸)つむぐ指のたしかさ    紅舟

3、納所なるかの下し文たまへかし     宜博

4、 川を隔てて恋しさまさる       安親

5、吊橋を渡る手古奈の心ばせ       紅舟

6、 つけば霞むか入相の鐘        宜博

7、求め来し花のきはみの魂ならん     安親

8、 捧げまゐらす蓬葉の餅        紅舟

9.手づからに習ふに難き歌の道      宜博

10、 遠き筑波嶺仰ぐ露原         安親

11、立つ鴫の沢辺をめぐり来たりけり    紅舟

12、 朝な夕なに月おもふころ       宜博

13、いふを得ぬ険しき一代つきんとし    安親
きぬ
14、 萎えたる衣に深き安らぎ       紅舟

新蓮歌ー18

名残表

1、風鈴の音は不倫とひゞくらし 宜博

2  川瀬涼しきよき本居にて安親

3、草茂る庭にまろノびて遊ぶ犬

4、 ながの患ひやうやう癒えし       宜博

5、天地の恵ゆたかに享けにけん       安親

6、 きせるをふかし憩ふひととき      紅舟

7、雲そひし百(もも)の階(きだはし)登りきり 宜博

8、 建ち直りたる城(くすく)さはやか   安親

9、秋風に今は鎮もるおよし塚        紅舟

10、 宗祇が澄みし水たむけせん       宜博

11、街の角いづこも流れ淀まざる       安親

12、 さらりと文を進む筆先         紅舟

13、薄衣かへる道には月よばふ        宜博

14、.新墾(にひばり)の土薫りたつなり   安親

 

新蓮歌ー17

初表

1、言霊(ことたま)の幸ほふ里に立つや秋   宜博

2、 ひときは高きまつ虫の声        柏全

3、とぢこめし霧たちまちにはれゆきて    安親

4、 なびきあひたる真緒(まそお)のすすき 紅舟

5、山裾を巡る道の辺見えかくれ       宜博

6、 はたての海に雪降りそめむ       安親

7、凍て窓の帳(とばり)の奥の月淡し    紅舟

8、 ほのかに香る竹の透垣(すいがき)   宜博

新連歌ー16

二裏
1、唐紙の印は朱く雅びたり       紅 舟
2、 懸けし袋のなかぞゆかしき     清
3、ひそめたる香は古加羅か真那蛮か   紅 舟
4、 殿作りして招く客人        清
5、夏草のありのままなる庭もあり    紅 舟
6、 冬はいかなる眺めなるらん     清
7、風すさぶ磯辺の空の三日の月     紅 舟
8、 身にしむ声を交はす舟影      清
9、内野なる里は笛の音豊の秋      紅 舟
10、峠境に変はる世の中         清
11、手をとりて訪ぬる先を誰知らず    紅 舟
12、なほ幸あれと祈るのみなり      清
13、匂やかな霞の奥の花の路       紅 舟
14、しるべは遠く誘ふうぐひす      清

新連歌ー15

初裏

1、谷おはふ紅葉の木下たどりきて  清

2、 沙綾ぎぬ被きふりかへりたる  紅舟

3、いにしへ の都大路の絵巻物   清

4、 牛車のひびきしのぶよしなし  紅舟

5、命さへ組み編む世とぞなりにける 清

6、 朝より暗き出来ごとはなぞ   紅舟

7、しばらくの老生照らす夏の月   清

8、 みだれし髪にそよぐ涼風    紅舟

9、篁の奥に萱屋のたのもしく   清

10、 床に坐します天神の像     紅舟

11、をのこらはふみ習ふ手のつたなくて 清

12、 走り慣れたる裏の細道     紅舟

13、苗木より育てし杜の花ざかり   清

14、声も色増し百千鳥鳴く      紅舟