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先生方の作品集


エッセイ

雇用制度の変革(その1)」

西川嘉伸

30数年前の話である。私は、仕事の関係でイギリスの会社と交渉していた。ある時、訪日は、はじめてだというイギリス人が日本、われわれの会社へやってきた。彼にとっては、日本の会社の風景がきわめて珍しいようであった。

まず、各課が大部屋の中で、机とイスをくっつけて座っている。各課長は、窓際に近いところで単独の少し大きい机の前に座っている。そして、部長は、その後方に陣取っていた。これを見たイギリスの友人は、「あなた方はなぜ、こんな形で集まって、お互いに邪魔しながら、仕事ができるのか」と本当に不思議そうに訊ねた。その時、課長が私の隣に座っている新入社員のところへ来て、書類を示し、「ここの部分を修正して、清書してコピーをとってくれ」と指示した。

当時は、ワープロもパソコンもない時代であった。それを見ていた英国紳士は、その若い社員に興味をもって、いろいろ質問をした。本人が一流大学を出て入社したばかりでありであることを教えられて驚いた。イギリスでは、オックスフォードやケンブリッジを出た人は、最初から個室に入り、秘書がつく。日本では、なぜそんな人の使い方をするのか、というのである。

私は、日本式のやり方があまりにも特殊なのかも知れないと感じた。それでも、日本製の時計、カメラ、それに電卓などが国際市場に出て、イギリスでも競って購入し、使われていたし、日本の技術と品の質の高さが評価されてきた。

今、日本のオフイスも、時代の流れとともに、大きく様変わりしたが、年功序列、終身雇用制度の下で、中心とした体制の根幹は変わっていない。先進企業などで、疲弊した構造の改革も進み始めはている。しかし、国内の競争だけではなく、国際化の荒波が押し寄せる「変化の時代」に耐えられる雇用構造、人事管理制度の確立が官民ともに求められているのではないだろうか。

「雇用の改革(その2)」

大学を卒業して、企業に採用された新入社員は、希望に燃えて入社する。そして、社長の訓示を聞き、研修を受けてから各職場へ配属されるが、大学での専攻や自分のやりたい仕事、業務に就けるとは限らない。勤務地の希望が必ず適えられるわけでもない。かりに、幸運にも、希望する職場に行けたとしても、いつ転勤させられるか、はわからない。

このような体制下では、採用される社員は、職務、勤務地、勤務場所選択の自由が保障されているわけではない。しかし、その反面、企業は、社員に定年までの間、給与を支払い、仕事を与え続けなければならない。職務を変える際に、社員にその能力が充分でなければ、企業の責任と負担で研修させなければならない。

社員は、定年まで、企業に忠誠を誓って働き、企業は、社員の面倒を生涯見ると言うことになり、企業と社員は固く結ばれ、相互に束縛した関係を確立している。その結果、大学での専攻や専門能力が活用されるとは限らず、先輩社員を飛び越して、質の高い職務や、管理職業務につくことは原則としてあり得ない。給与も能力や実績が反映されるとはいえ、年功序列の枠を大きく超えることも期待できない。

時代が変化を求め、技術が進み、人々の価値観や欲求も変わっていく。しかも、終身雇用を前提とした年功序列の雇用形態では、まします激化する国内外の競争に打ち勝っていくことが困難になってくる。高い能力を必要期間だけ確保したい雇用者と、専門能力を有し、自分で維持、開発を続ける人との間で、短期間、高い酬で契約することが急務になりつつあるように思われる。

わが国でも、すでに、一部の一流会社でも始まっているようであるが、能力中心の雇用制度が、整って、徐々に労働の流動性が普及、定着していくのではないだろうか。


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