Welcome Guest 
メインメニュー
サイト内検索
ログイン
ユーザー名:

パスワード:


パスワード紛失

新規登録
[ リロード ]   [ トップ | 一覧 | 単語検索 | 最新 | ヘルプ ]

Counter: 3334, today: 1, yesterday: 3

先生方の作品集

田園 

作詩 山田篤朗

今宵は月が眠っている 
駅から離れて家々の光が小さくなる 
遠近法どおりの闇が襲う 
私が息苦しいのは
草いきれと肥料の匂いだけではあるまい 

案山子は直立不動していた 
蛙たちが生々しい声を挙げている 
多くの蝙蝠がひらひら錯綜している 
そのいのちたちの騒ぎに思考は停止させられた

闇の壁を背景に幾つもの蛍が光の痕跡を操る 
蛍の光が私を迷宮へと指示する 
両眼は誘惑に負けていた 
騙し絵のなかの私

一匹そして一匹と
蛍が光りながら私のなかを通過したり
骨に留まって明暗を繰り返している 
私の肉体はどこにあるのか 
右足が逃走準備をはじめていた 

意識と心臓音が浮かんでいる 
消える 
慌てて両手で蛍を掴まえた 
強い緑色の光が掌のなかでこぼれた 
光は私のなかへと滲みだしていた


XOOPS Cube PROJECT