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先生方の作品集

だから面白いのにね

                村山 恵美子


 女は地図が見られないとは誰が言ったのでしょう。私は地図を見るのが大好きです。地図を見ているとわくわくと楽しい気分になれます。平面の紙に書かれた道を指でたどり町の名を探し、ここで休憩を取ろう、曲がりくねったこの峠の頂上にレストランがあるはずだ。地図を開いてそんなことを考えてから車を走らせます。これがとても楽しいのです。
 カーナビ愛用の友人は、「絶対いいよ。便利だもん」紙の地図なんてもう不要だと言います。でも、新型の電子レンジや冷蔵庫には憧れても、カーナビへの憧れは私にはありません。
「すごく美味しいパスタ屋さんだったよ」
 ご主人と一緒に外出した友人が楽しそうに教えてくれるので、
「そう。今度行ってみようかな。それで、そのお店どこ」
「えーっと、…よくわからない」
「え、わからない? だって、行ったんでしょう?」
「行ったよ。でもカーナビだから。あ、店の名前はわかるよ」
 と、こうなのです。すべてカーナビにお任せなのだそうで、住所と店名を入力すれば音声で誘導してくれるために道順も覚えていないようでした。

 地図好きとは言え私には失敗も多々あります。空港駐車場への入り口を見落とし、Uターン禁止だったために空港の周りを一周する羽目になったり、山間にいい温泉があるらしいと聞き、「みんなで行こうよ」仲間を乗せて出かけ、右折場所を間違えたことに気付かず、熊でも出そうなとんでもない山道に入り込み慌てて戻ったこともあります。
 こんな単純な間違い、カーナビがあれば起こらないのでしょう。でも、間違えたら戻ってまた地図を見ればいいだけのこと。どうしてもダメなら聞けばいい。最短距離で最短時間で目的地に着くことだけが車を走らせる楽しみの基準ではありません。

 新しい物が世に出ると古いものは淘汰され廃れていきます。掃除機が登場して箒が、メールが広まって手紙が、カーナビが現れて紙の地図が、電子書籍によって本が。古いものに固執するばかりでは人類に進歩はないのでしょう。しかし、その古いものを愛用し必要とし幸せを感じている人間もいるのです。
 イメージを描く面白さ、それが地図。最短最速が魅力のカーナビ。それぞれの違いを認め合い、消えずに共存する世の中であってくれたら最高です。地図よ消えないで、とこのごろ強く願っています。


XOOPS Cube PROJECT